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2019年4月1日月曜日

令和の残念

新しい元号が発表されました。「令和」と聞いて感じる違和感。ラ行で始まるやまとことばはないし、漢字を組み合わせて命名されてきた元号にもラ行で始まるものはなかったような気がするので、このあたりが違和感の原因なのかなとは思います。M行、T行、S行、H行を避けての命名という制約があったとはいえレイワは響きがいまひとつ。でもこのレイワにもそのうち慣れてゆくでしょうからまあいいとして、それにしても残念至極というのが私の感想です。

個人的には、日常生活で元号をつかわなくなって30年以上になります。書類に年を記載する際はいわゆる西暦をもちい、また明治・大正・昭和・平成と印刷されている紙に記入する際にもそれを抹消して西暦を書き込むことにしています。例外は死亡診断書くらい。死亡診断書専用の記載用紙(どこの医療機関にも同じ紙製の同じ様式のものが常備されているようなのであれは厚生労働省謹製なのかな)の生年の欄にも明治・大正・昭和・平成と印刷されています。死亡診断後のおごそかでありたい雰囲気下に、抹消線のある診断書を交付するのも申し訳ないかなと感じて、そのまま丸印を付けるようにしています。

年齢早見表を置いてある診察室をよくみかけますが、ああいった早見表を使う必要があること自体、日常生活で元号をつかうことの不便さをよく表していると思います。それに元号だと、元号が使われ始める以前の年、例えば神武天皇のご即位の年を表すこともできないでしょ。まことに不便。

もちろん紀年法としてはいわゆる西暦のほかにもヒジュラ暦とか仏滅紀元とか、あと皇紀とかいろいろあります。どれをつかってもいいのでしょうが、わたしが西暦を選んでいる理由はべつにキリスト教に敬意を表しているからではなく、単に世界的にも多数派なのかなと感じているからです。本当は世界標準時とかメートル法とかと同じように、みんなで協議して決めるべきものなのだと思います。

元号が日本の「伝統」だということで使い続けられていることにも強く反対したいつもりもありません。でも、伝統というのならきちんと伝統を継承して欲しいもの。これまでの元号はすべて中国の古典を典拠とされていて、それが日本の元号の伝統だったはず。やまとことばをもとにした元号とするのなら万葉集が典拠でもよかったかもしれませんが、漢字2文字の新元号の典拠に万葉集なんていう発表はまったく残念。



ネットの情報によると帰田賦、蘭亭序なんかにも由来するそうですから、伝統に従って新たな元号も中国の古典を典拠としていると発表すれば「漢字を廃止した国も多い中で日本は漢字を使い続けているし、新しい元号もうちの古典を典拠としたというし、いまでもうちの国の古典に敬意を表しているのだな」と中国のひとたちも悪い気はしなかったはず。日中関係の将来を考えても負担なく無料でできるこういったおもてなしの機会を逃すてはなかったのに。不便な元号にメリットをみいだすとしたら、この点のアピールくらいしかないだろうと私は思うので、まったく残念至極と感じた次第です。

2012年5月13日日曜日

The Battle for the falklandsの感想 続き


本書の中の日本についての言及は、国連安保理の非常任理事国だった日本が、イギリスの提案したアルゼンチン軍即時撤退の決議案に賛成したことをふくめて4カ所しか見あたりません。EECはアルゼンチンとの貿易を一時凍結したそうですが、日本はどうだったのかな?と疑問に感じても触れられてはいません。まあ、その程度の関わりしかない遠い国でもあり、またフォークランド紛争は30年も前のできごとですが、それでも学べる教訓がたくさんあると私は感じました。
イギリスがフォークランド領有の正当性について主張できたのは、永きにわたって実効支配して来たことと、島民がイギリス帰属を希望していることの2点です。アルゼンチン側は先占の事実とそれがイギリスに奪われた旨を主張していました。これは、ロシアと日本との間で、ロシア側が実効支配と住民の意思、日本側が千島樺太交換条約以来の正当性を主張している北方領土問題にとてもよく似ていますよね。北方領土に住んでいる人たちは旧ソ連から移住したロシア人が多いのでしょうが、それにしてももう数十年ちかく暮らし続けている人も少なくないでしょう。ロシア領である期間が長くなるにつれ、こういった島民の意思を無視しにくくなってきていると私は感じます。ロシア人たちはもともとの島民じゃないという声もありそうですが、もともと近代になる前にこれらの島々に住んでいた人たちは日本に帰属する意識を持たない・日本語も話さない人たちでした。島民の自決権の尊重という点では、日本領時代に住民だった旧島民が、現島民よりも重視されて然るべきだとは思えません。こう考えると、北方領土に関しては領有権の主張を止めて、ロシア領ということで決着する方が、大局的観点からの日本の国益にかなうと私は信じます。領土要求を断念することに反感をおぼえる人もいるでしょうが、このフォークランド問題でも、あまりに長い間、お互いの譲歩がなかったことが戦闘にまでいたったわけです。また、敗戦間際の日本に対して火事場泥棒をはたらいたソ連の肩を持つのかといって怒る人もいるでしょう。でも、そう思うのなら、まずはあの火事場・敗戦という惨事を招いた東条英機やら陸海軍の軍人・政治家のお墓にでも向かって文句を言うべきですね。
また日本が実効支配していることになっている尖閣諸島についても考えさせられます。フォークランドの戦闘の呼び水となったのは、サウスジョージア島へのアルゼンチン「民間人」の上陸と、それに対してイギリスが南極観測船エンデュランス号でフォークランドから海兵隊員をサウスジョージアに移動させたできごとでした。同じようなことが尖閣諸島で起きることはないのでしょうか。警察力では排除できない規模の中国国籍を持つ「民間人」が尖閣諸島に上陸したら、どうなるのか。日本政府は自衛隊を出動させて排除しようとするのでしょうか?また、こういった行為に及ぶとすれば世界の情勢を眺めてのことでしょうから、「民間人」相手にアメリカ軍の介入は期待できないでしょう。もし、悪天候を口実にした中国軍艦船の尖閣諸島への寄港とそれに続く軍人の上陸があって居座ったとしても、アメリカが介入してくれることなんてありそうもないと思えるのです、フォークランド紛争での態度を見ると。日米安全保障条約は日本の領土内にアメリカ合衆国が基地を維持するためのもので、日本の領土の保全のための行動なんて、東日本大震災時の支援(もちろん、あれには大変感謝いたしますが)のように、政治的に支障のない範囲でしか実施してくれないでしょう、アメリカは。そう考えると、日本は中国と単独でことを構えるこのとできる国ではないし、このままだと心配。
ともあれ、国境をはさんだ近隣の諸国すべてと領土問題を抱えている日本の状況というのは危うい限りです。国益という観点からは、短期的には損にみえるような方法であっても、損して得とれと考えて領土問題に決着をつけておくべきじゃないでしょうか。

2011年3月30日水曜日

陸前高田のはなぎりだいこん


切り干し大根が好きです。夏はさっとゆがいてドレッシング。冬は煮て食べることがほとんどです。材料に使うのはふつうの切り干し大根でも良いのですが、私の好きなのはこのはなぎりだいこんです。この写真だと今ひとつはっきりしないかも知れませんが、これは大根を輪切りにしてあるのです。さっと煮ておいしく食べられ、このところは週に一袋くらい消費していました。
今日もいつものお店に買いに行きました。このはなぎりだいこんは姉妹品のてきりだいこん(太めの切り干し大根)・きりぼしだいこん(ふつうの切り干し大根)と並べて陳列してあるのですが、今日はその三つとも棚のいつもの場所に見あたらず、別の商品が置いてありました。お店の人にどうしたのか尋ねたところ、しばらく調べてから「陸前高田産ですから、入荷しないんです」とお答えいただきました。

帰宅してから、在庫のはなぎりだいこんの袋の品質表示のところを見ると、陸前高田市高田町字古川となっています。Googleマップで調べてみると海のすぐ近く。陸前高田市は津波の被害の大きかったところと報道されていますが、これを作ってくれた方たちのご無事をお祈りしながら、今晩いただくことにします。


2009年10月18日日曜日

大根おろしを食べながら

このところ、大根とキャベツとレタスがかなり安くなっています。大根とキャベツは100円未満くらい、レタスは2~3個で100円未満のものも見受けます。さすがにあまり安いレタスは切り口が茶色く変色しているものですが、大根やキャベツは夏の高かった頃のものより立派。特にキャベツは高い頃のはすかすかで軽い印象でしたが、今買うとずっしり重いのです。今年の夏は雨が多くて気温もあまり高くならなかったので、高値のころのものは充分に成長しきってないのを早めに収穫して売っていたのでしょうね。

大根やキャベツの値段ですが、一本一個百円台前半くらいまでだと気になりません。でも、二百円を超えるとなんとなく高く感じてしまいます。一本200円として、運送費やパッケージ台や流通業者のマージンなどを考えるとどのくらいが生産者の収入になるのでしょうか?気になってググってみると、例えばこのサイトには、生産者の手取りが最終価格の22.3%となっていました。200円の大根一本で45円の利益だと、十万本(一家で一年に十万本つくれる??)つくっても年収450万にしかならない。日本で作られている野菜がワンコインで買えるというのは問題ありかも。国内生産が持続できるようにするには、政府による農家の所得保障なり、多少値段が高くても農家の手取りがその分増えるフェアトレードのような仕組みがあってもいいかなと感じます。

2009年10月11日日曜日

核兵器とノーベル賞

日中韓三カ国の首脳会談が開催され、北朝鮮のことも話し合われたと今朝の新聞にのっていました。それを読みながら、以下のようなことを妄想してしまいました。

北朝鮮は核兵器とミサイルの開発をさらに推進します。これまで2回の核実験よりも大規模な核実験を行い、そして人工衛星の打ち上げにも成功した段階で、充実した核兵器とその運搬手段の開発に成功したと発表します。そうすると、世界中から今まで以上のブーイングが集まるでしょう。その後、現在の金正日さんが死去して、金ジョンウンさんがリーダーになります。新しいリーダーは、これまでに製造した核兵器を経済援助と交換で中国にすべて引き渡し、核施設にIAEAの査察や海外のマスコミの取材を受け入れます。そして、「口先だけでちっとも実行に移さないアメリカのオバマ大統領とは違い、わが国は世界の平和を愛する諸国民とともに核廃絶を実現するために、率先実行したのだ」と声明するのです。もし、こんな風なことが起きれば、北朝鮮のリーダーがノーベル平和賞を受賞することになってもおかしくないような。

佐藤栄作さんの受賞もあれでしたが、ノーベル平和賞はノーベル政治賞とでも名前を変更した方がいいような気がします。

2009年8月30日日曜日

最高裁裁判官の国民審査

今日は衆議院議員の選挙と一緒に、最高裁の裁判官国民審査がありました。この制度って何も書かない人は信任したことになるのが現状ですが、何も書かないと棄権・○は信任・×は不信任とすればもっと白熱するだろうとも思うのですが、まあ無理でしょうね。

で、今日はぜんぶで9名の名前がリストにありました。最高裁の裁判官定数が15名ですから、かなり多い感じ。みんな過去4年間に任命された人のようです。これも、政権交代が当たり前になると、アメリカの最高裁判事のようにリベラル派・保守派といった政治的傾向が問題にされる時代が日本にもくるのでしょうか?今のところ、日本の2つの大政党である自由民主党と民主党は、政治的な姿勢の違いが全然はっきりしませんから、すぐにはそうはならないと思われます。

日本の、特に自由民主党に所属する政治家は、政治的心情などお構いなしで、とにかく政権党にいたいというだけの人が多かったのだと思います。だから、総理大臣になっても一年もしないうちに平気で辞めちゃうし、しかもそれを恥じる気持ちもなく今回もまた立候補できるわけですよね。でも、政党というのは本来なら政治的な思想・心情を同じくする人同士が集まるものだと思うのです。ですから、政治家には、与党であれ野党であれ、自分の考えるところを実現するために政党に所属して欲しいし、できれば主な先進国の政党のように、機会の均等を重視するか分配の公平さを重視するかという観点で、別々の政党に分かれてもらった方がすっきりしていいのですが。

2009年8月18日火曜日

今日公示の衆院選に政権交代を期待

昨日、投票所入場整理券というのがポストに届いていました。公示は今日だということですが、ポスター掲示板と同じく、入場整理券も事前に準備しておくものなのですね。

で、来る衆議院選挙。マスコミは政権選択選挙と報道しています。マスコミの誘導に乗る訳では全然ありませんが、私も今回の衆議院選挙では政権交代に期待しています。現在日本社会の閉塞感は政治の貧困に負うところが少なくなく、その貧困の一因は本格的な政権交代が半世紀以上にわたって行われなかったことにあると私は考えます。1990年代の細川政権・羽田政権があったではないかとおっしゃる方もいるかもしれませんが、あの時の衆議院第一党は自由民主党であり、本格的な政権交代だったとは言えないと思います。なので、今回こそは、衆議院第一党の交代による政権交代をぜひ期待しているのです。

もちろん、政権交代が実現したからと言って、問題の多くがすぐに解決するだろうなどとは思いません。政権交代が常識化している他の議会制民主主義国でも、政治に関する問題は多々ある訳ですから。ただ、日本でも政権交代が自然に行われるようになれば、万年与党と官僚の間の癒着など、ある種の問題は改善していくはずです。

ただ、「責任力」などという見慣れない言葉を持ち出して、安倍・福田両首相の政権投げ出しの無責任さを知る国民に対して、どの面下げて訴えるつもりなのかという印象の自由民主党と比較してみても、民主党の政策の方がずっとましなものかどうかについて疑問がない訳ではありません。例えば医療に関して民主党のマニフェストを見てみると、
医療崩壊を食い止め、国民に質の高い医療サービスを提供する
【政策目的】
○医療従事者等を増員し、質を高めることで、国民に質の高い医療サービスを安定的に提供する。
○特に救急、産科、小児、外科等の医療提供体制を再建し、国民の不安を軽減 する。
【具体策】
○自公政権が続けてきた社会保障費2200 億円の削減方針は撤回する。医師・看護師・その他の医療従事者の増員に努める医療機関の診療報酬(入院)を増額する。
○OECD平均の人口当たり医師数を目指し、医師養成数を1.5倍にする。
○国立大学付属病院などを再建するため、病院運営交付金を従来水準へ回復する。
○救急、産科、小児、外科等の医療提供体制を再建するため、地域医療計画を抜本的に見直し、支援を行う。
○妊婦、患者、医療者がともに安心して出産、治療に臨めるように、無過失補償制度を全分野に広げ、公的制度として設立する。
といった政策が掲げられています。医療崩壊と呼ばれるような事態の解決に向けては医師の養成数を増やす対策があげられていますが、これだけでは全く不十分です。産科・小児科をはじめとした救急医療の荒廃は、病院勤務医の労働条件の過酷さ(当直を挟んで二日連続の勤務が当たり前・処理すべき書類の増加など)と理不尽な医療訴訟(刑事・民事)が主因です。病院の医療にもっともっとお金をかけて、病院勤務医の数を増やし労働条件を真っ当なものとすることがまず必要です。また、医療訴訟については民事裁判を政府がどうこうすることは困難でしょうが、大野病院事件・杏林大割り箸事件などのような不当な刑事訴訟をなくすことが望まれます。大学医学部の定員を増やすだけでは、医師が病院勤務を敬遠する傾向を変えることはできるはずがないし、いま私立大歯学部でみられているような入学者の定員割れが、やがては私立大医学部でもみられるようになるだけなのではないかと思います。民主党にも医師の議員が何人もいるはずなのに、「救急、産科、小児、外科等の医療提供体制を再建するため、地域医療計画を抜本的に見直し、支援を行う」とあるだけで、踏み込んだ具体策が書かれていないことには全く失望です。私は医療以外の分野に関しては充分には分かりませんが、おそらく問題点がない訳ではないでしょう。ただ、こういった懸念があるのは確かですが、それでも日本が政権交代がふつうに行われる国になることの方を重視して、民主党による政権奪取を望みます。

ただ、考えてみると今回の選挙に政権交代を切実に希望しなければならないこと自体がとても不幸なことではあります。なにしろ西松建設事件がなければ、あの小沢一郎氏を首相にすることを望まなければいけなかったかもしれないくらいなのですから。で、この半世紀も本格的な政権交代がなく、旧植民地である韓国や台湾にも先を越されてしまったという日本の現在の不幸が何に由来しているかというと、1960年代(70年代ではもう手遅れ)に政権交代の条件が満たされなかったこと、例えば江田ビジョンの抹殺にあるのではと私は考えています。なので、1960年代、左バネによって直接・間接に政権交代の芽を摘み取り、自由民主党政権半世紀存続の基礎を築いた社会党・共産党の末裔の人たちには今回の政権交代の邪魔をしてほしくはないと感じます。また、第二次大戦後の日本の政治史の研究を志す若手の研究者がこれからぞくぞく出現すると思いますが、左バネの人たちが生きているうちに彼らのオーラルヒストリーも交えてこのテーマについての面白い作品を書いてくれることを期待します。

2009年7月13日月曜日

臓器移植法改正A案 参議院で成立

参議院でも臓器移植法の改正A案が可決されました。本人が臓器提供の意思を明示していなくとも、家族の同意で脳死体からの臓器提供がみとめられたことについては、まあ、そういう考え方も充分ありだと思うし、大人の場合には問題をあまり感じません。これよって、脳死臓器移植が増えることについては反対する積極的な理由を私は持っていません。ただ、今回の改正の影響で、脳死に陥るような患者さんを担当する救急医療機関の医師の労働がさらにきびしくなるようなことがないことを期待します。

今回の改正に関して気になるのは15歳未満のヒトが対象とされるようになる点です。中学生くらいになれば大人と大きく事情は違わないのかもしれませんが、幼児・乳児・新生児と若くなればなるほど脳死の判定が困難になることをむかし学んだことがあります。そういった事情は今でも変わらないでしょうから、幼い子供たちを脳死と診断して治療を打ち切ることができる例がそれほどあるのかどうか。さらに、現在の日本では子供たちがとても大切にされていますから、急に愛児の死に直面させられた親が、我が子が脳死であることを受け容れ、短時間で臓器を提供するところまで決断できるのかどうか。このあたりが、とても困難なのではと思われてしまいます。

今回の臓器移植法改正をめぐる報道では、臓器移植が可能であれば救えたかも知れない小さな子供を亡くした親たちの様子が大きくとりあげられていました(こういう、マスコミのやり方は好きではありません)。はたして、この人たちの希望に添った展開になっていくのかどうか。もしかすると、今回の改正が日本人の常識となっていくためには、脳死と判定されるようになった愛児をもつ親たちがそれを受け入れることができるように、この方たちが啓蒙活動を続けていかなければならないのかも。

また、この臓器移植法の採決にあたっては、衆議院でも参議院でも主要な政党が党議拘束を外しました。これまで、こういう例はほとんど記憶にありません。今後、日本でも政権交代が常態化することも予想されるので、この種の法案に関しては議員の良心にもとづく投票がみとめられてしかるべきだと思います。特に、宗教をバックにした議員や公明党の議員の間にも賛否が分かれたりする様子や、衆議院では全員が棄権、参議院でもA案に一致して反対した日本共産党みたいな対応も政党の体質を浮き彫りにしてくれていて、とても興味深く感じました。

2009年4月27日月曜日

ブタインフルエンザの報道に接して

先週末からTVや新聞でブタインフルエンザが報道されています。アメリカではメキシコ旅行をした高校生や子供に、またカナダでもメキシコ旅行をした人の中に感染者がいるとのこと。ブタと接触するとは思えない旅行者が複数感染しているのですから、ヒトーヒト感染があることは間違いないのでしょう。それ以外の情報がないかどうか、CDCとWHOのサイトを覗いてみました。すると、WHOの メキシコとアメリカのインフルエンザ様疾患のページに
The majority of these cases have occurred in otherwise healthy young adults. Influenza normally affects the very young and the very old, but these age groups have not been heavily affected in Mexico.
Because there are human cases associated with an animal influenza virus, and because of the geographical spread of multiple community outbreaks, plus the somewhat unusual age groups affected, these events are of high concern.
と載せられていました。

スペイン風邪の時にも、インフルエンザ感染が重篤な症状を来して死亡につながった症例は若年成人に多かったことが知られていて、その原因としてはサイトカイン・ストームが想定されています。今回も主に健康な若年成人が肺炎にまでなっているのですから、同様の機序の存在が想像されます。私は感染症の専門家でも何でもありませんが、なんとなく本物のpandemicになりそうな予感がします。ただ、新型インフルエンザの出現がこの時期だったことは不幸中の幸いかもしれません。北半球ではこれから夏を迎えますから、いったんは流行が下火になってくれればと思います。そして秋になるまでにしっかり準備ができればいいのかも。

報道で日本人の反応をみると、厚生労働省の電話相談には豚肉を食べて大丈夫かという問い合わせが多いとのこと。ちょっとびっくりする質問です。これを受けて、石破農林水産大臣がインタビューに答える様子がTVで放映されていました。そのインタビューの中で彼は、豚肉は殺菌滅菌されているから安全だとおっしゃっていました。これにも、またまたびっくり。豚肉を生のまま味や外観に影響ないように滅菌するとしたらガンマ線でも使わなきゃ無理でしょうが、そんな処理をした豚肉を売ったら食品衛生法違反になってしまいます。そもそも、ふつうの食肉は殺菌・滅菌・消毒されてから売られていると思っていたのだろうか、この大臣は。国民のレベルにみあった国会議員が選出され、その議員が大臣になっているってことが本当によく分かりました。

などと書き込んだあとに、BBCのサイトに複数のメキシコ人医師からのE-mailが掲載されているのを知りました。これを読むと、医療スタッフが逃げ出し始めるなど、メキシコの病院は報道されているよりもずっと深刻な状況とのことです。この先どうなるのか、かなり不安になってきました。

2009年3月4日水曜日

定額給付金への感想

定額給付金の財源を確保するための財源特例法案が衆議院で再可決されました。いよいよ実施が決まったわけですが、この施策は昨年夏に定額減税として提起された時からうさんくさい感じでした。なんといってもかつての地域振興券を想い出させますから。でも減税ということなら、まあ了解できる範囲かなとも思っていました。それが、いつのまにか「定額減税は『給付金』方式とし、全世帯を対象に実施。規模は約2兆円。標準的な夫婦子ども2人の4人世帯で給付額が6万円程度になる」とのこと。町中にたくさん貼られているこのポスターの政策キャッチコピーのトップには今でも「定額減税の実施で家計を守る」と書かれていますが、どういうつもりなのかしらん。


また、この定額給付金のうさんくささをさらに増幅させたのは麻生首相の一連の発言です。高額所得者は受け取りを辞退すべきで「矜持の問題」などと言ったり、支給に所得制限を設けるかどうかは地方自治体の判断に任せると言ったりなどなど。まあ、定額給付金という施策がもっとも役立ったのは、麻生首相の政治家としての資質を明らかにしてくれた点なのかも知れません。

世論調査でも、マスコミの論調でも、野党だけでなく自民党の議員にまでも大不評の定額給付金ですが、それにも関わらず実現にまでこぎつけたのは、ひとえに連立パートナーの公明党に対するおもてなしが理由なのでしょう。でも、公明党はどうしてこんなに評判の悪い政策を実現させたがるのか、とても不思議です。


そこで想い出すのが昨年から市内に貼り出されている公明党のポスター。高齢者の旅行補助金制度を創設したと誇らしげです。私なんかはこのポスターを一目見て、こんな子供だましのばらまきの制度で喜ぶ人なんかほとんどいなかろうと感じてしまいました。こんなことに費やす税金があるのなら、介護の充実などに使ってほしいと感じる人の方が一般的なのではないでしょうか。このポスターは、ばらまきの愚策の宣伝をして、公明党に対する評判を悪くするだけなんじゃないかと心配にもなるくらいです。でもでも、きっと公明党を支持している人たちは、この「公明党が実現しました!」を高く評価するのでしょうね。だからこそ、ポスターにまでして愚策を進めたことを公開するのでしょうから。

そう考えると、定額給付金についても同じ構図の存在が推測できます。どれだけ世間で評判の悪い愚策だとしても、「公明党が実現しました!」ということで支持者はさらに支持を固くしてくれる。たとえ新たな層に支持を拡げることができなくとも、これまでの支持者だけを手堅くまとめる内向きの戦略と考えれば納得できます。

でも、そうは言っても総額2兆円にもおよぶ定額給付金。個人消費を増やすために使うというのなら、私の希望としては介護の分野に支出して欲しかった。21世紀世界大恐慌の影響によって失業者が増加する一方で、介護・福祉の業界では慢性的な人手不足が続いていて。その緩和のためにもインドネシアやフィリピンから外国人介護労働者の受け入れが始まります。外国人労働者の受け入れについては論点がいろいろあるのでおいとくにしても、失業者と人手不足の共存はどう考えても変。で、この問題を解決するには介護労働者の給与の低さの是正がぜひとも必要です。厚生労働省が来年度に行う3パーセント程度の介護給付費の引き上げ改定では全く焼け石に水。でも、日本全国の一年間の介護保険給付費の総額は5兆円程度ですから、今回の2兆円を投入すれば給与水準ははっきり上昇してミスマッチはかなり改善するに違いありません。まあ、一年ぽっきりのばらまきと違って、こういった制度的な改善には連年の2兆円支出が必要になってしまうので、与党にはとりあげてもらえないのでしょうが。

2008年12月28日日曜日

今年の有馬記念は人出が多い様子

昨日から冬休みに入りました。今日は東京に買い物に行こうと思い、9時ころ家を出ました。立川駅に行く途中、ウインズの前まで来ると、すでに人がたくさん歩いていました。自分が休みに入ったものですから、てっきり競馬ももうおしまいになってるのかと思いましたが、まだやってるんですね。年末だから、有馬記念でしょうか。朝9時頃としてはふだんよりずっと多い人通りでした。午後に通ったときも、11月のG1がたくさんあった頃より、今日は混雑していました。不景気ということもあって、最後に有馬記念で一攫千金と考えた人が多いんでしょうね。

2008年12月6日土曜日

加藤周一の訃報

昨日、加藤周一さんが亡くなったそうです。 これで、戦後を感じさせる進歩的文化人では、あと鶴見俊輔が残るくらいになってしまいました。私は彼らが精力的に活躍し影響力を持っていた時代よりかなり後に大人になった世代ですが、それでも「戦後は遠くなりにけり」と感じてしまいます。

彼の作品の中では、日本文学史序説がほんとに面白いのでおすすめです。タイトルに序説とついていますが、他の著者の本にもXXXX序説というのがいくつもあるので、恐らくこの評論が書かれた頃には序説と銘打つのが流行だったのでしょう。で、実際の内容は序説と言うには広範な、万葉集から戦後文学までの日本の文学、それに加えて日本文化全般に関する評論になっています。

この中で彼は日本文化の特質をいくつか指摘しています。抽象的な思考が苦手で独自のものを生み出すことはほとんどなく、輸入の抽象思考、たとえば仏教などもやがては世俗化されてしまったこと。新旧交代ではなく、旧い形式と並行して、新しい形式が付け加わって行くこと。全体の統一より、細かい部分に遊びを見いだし、細部にこだわること。集団の内外の区別の鋭い意識を共有する仲間の集まりが存在したことなどなど。こういう特徴は、現在の日本のガラパゴス的進化を遂げていると言われるケータイ電話機の仕様・性能や、アニメ、コミケ。2chなどにも充分当てはまるような気がします。

彼は89歳で亡くなったそうですが、つい最近まで朝日新聞に夕陽妄語というタイトルの文章を月に一回、連載していました。仕事柄、高齢者と接することは多いのですが、この年齢の男性でしっかりしている人って女性と違ってとても少ない印象です。90歳近くまで知的能力をあまり低下させずに過ごせたのは、なぜだったねしょうか、興味があるところです。

2008年11月20日木曜日

元厚生事務次官の殺人事件

元厚生事務次官の殺人事件ですが、 犯行声明が公開されているわけではないのに新聞やテレビでは年金がらみのテロ事件として報道されています。私も報道で年金テロという憶測を聞かされる前から、同様の事件が二つ続いたことを知った瞬間に、年金がらみのテロ事件だろうなと思ってしまいました。これって、私以外の人の多くもそう感じたんじゃないでしょうか。

もしかすると二件が全く別々の事件、例えば強盗殺人・強盗殺人未遂という可能性もまだ残されています。また、被害者に目撃された犯人が30歳代くらいだったとのことですから、二件が関連しているとしても、年金とは全く別のことで犯行に及んだのかも知れません。そういう可能性が絶無という訳ではないのに、マスコミをはじめ私を含めた多くの人が年金がらみの事件かもしれないと感じて納得してしまうのは、年金問題がそれだけひどくグダグダで、テロの原因になっても不思議がないなとみんなが思っているからでしょう。

で、この納得しちゃう気持ちというのは、もう少し進むと犯行を是認する感情につながり、もっともっと進むとテロに喝采を送るようにもなっていくのだと思います。もちろん、今回の事件では犯人が逮捕されても広範な共感がわきおこるようなことはないでしょう。しかし、犯行を是認する気持ちが多くの人に共有されるようになると、昭和前期のテロ事件のように犯人に対して多くの人から減刑嘆願が出されたりなどするようになってしまうでしょう。

インタビューに対して、テロは良くないと麻生首相も民主党の小沢党首も答えていました。テロが良くないというのは当たり前なことで、私も含めて多くの人が考えていることです。テロはいけないことだと言うこと以上に政治家に求められているのは、現在のようにテロが起きても不思議ではないだろうというみんなの気分を変えて行くこと、それが無理でも少なくともテロを是認させるような気持ちやテロを擁護するような気持ちに変化してゆかないようにすることだと思います。でも、期待できるというと、疑問かも。

大恐慌と不安定な政治のもとで政治的なテロが起きる。遠い昔には日本でもあったできごとですが、まさか現実にこの目でみることができるようになるとは思ってもいませんでした。もう少し長生きして、この先どうなっていくのかも見てみたいものです。

2008年11月6日木曜日

アメリカの大統領選挙

アメリカの大統領選挙が終わって、オバマさんが当選しました。私も、ブッシュ以外なら誰でもいいって感じていた1人ですが、マケインさんよりは期待できそうなのかな。まあ、オバマさんがどんなに素晴らしい政治家であっても、アメリカ合衆国は民主主義国で、議会もあるしマスコミもあるし財界も力を持っているはずなので、就任すれば直ちに素晴らしい政治が出来るだろうとは思えません。現下の21世紀大恐慌の進行だって、少しでも食い止められるかどうかは不明です。ただ一つ信じて良さそうなのは、ブッシュ現大統領とは違ってイラク戦争開戦程の愚かな選択はしないだろうということでしょうか。

開票の様子を見ていて印象的だったのは、民主党の集会に学生くらいの若い人もたくさん集まっていて、当選を喜んでいることです。熱狂的な人も少なくなかったかと。アメリカ以外でも選挙結果に若い人が希望を託してる姿って見かけると思いますが、次の衆議院選挙で日本に政権交代があっても、日本の学生・若い人たちがはしゃぎまくる場面なんて見られそうにないですよね。日本がこんなに冷めてるのは何故なんでしょうね。

2008年10月31日金曜日

上田耕一郎さんと虹色のトロツキー

上田さんは日本共産党の副委員長をしていた方です。長らく呼吸器疾患で療養されていることは、とあるルートから聞いていましたが、今朝の新聞でお亡くなりになったことを知りました。私は上田さんと面識があったわけではありませんが、一つだけ面白いエピソードを知っているので紹介します。

参議院議員をしていた頃ですが、私が内科の外来をしていた診療所に上田さんが訪ねてきたことがありました。もちろん、私に会いに来たわけではなく、別の科の医師に面会に来たのでした。で、その医師の診療が終了するまで、待合室で時間をつぶすことにしたようです。待合室の一角には、患者さんが診療の待ち時間に読めるようにと本箱が置かれていましたが、上田さんはその本箱のところに歩いてゆくと暫くじっと眺め、一冊の本を取り出して読み始めたのでした。

かなり熱心に読んでいました。私にはその本が何なのかだいたい想像がつきました。面会目的の医師の最後の外来患者さんが終わり、上田さんが待合室から出て行こうとする時に、近くに行って見てみると予想的中で、やはり「虹色のトロツキー」した。

虹色のトロツキーは安彦良和さんのマンガで、彼の作品の中でも最も優れているものの一つだと思います。元は私の愛読書だったのですが、面白いので待合室の本箱に入れておいたのです。おそらく、トロツキーというタイトルが上田さんの目にとまって、ついつい手に取って読んでしまったんだろうと思います(まさか、潮出版社の本だから手に取ったというわけではないでしょう)。ソ連の共産党でも日本の共産党でも、相手をトロツキスト呼ばわりするのは究極の罵りだったようですから。

私としては、永続革命を唱えたトロツキーの方が、スターリンとその後継者たちより、地位を追われたからかも知れないけれど、魅力的です。虹色のトロツキーは満州を舞台にした作品で、トロツキーに触れた部分はほんのわずかしかありません。それでも安彦さんが物語の中にトロツキーの幻とトロツキーを語る訳者を登場させたのは、やはり彼もトロツキーに魅力を感じるからなのではないのかな。

でもまあ、この本を手にした上田さんは、トロツキーとは全然関係ねえじゃねーかって、驚いたことでしょう。

2008年9月20日土曜日

ねんきん特別便

私も、ねんきん特別便を受け取りました。すでに年金を受給している人には昨年のうちにねんきん特別便が届いていて、実際に年金に漏れが見つかったというお話を何人もの患者さんから聞かされていました。また、医師の場合、研修医の頃からいくつも職場を転々としている人が多いので、漏れが発生しやすいだろうとも言われていました。でも幸いなことに私の年金記録には漏れはありませんでした。

漏れがなくてひと安心ですが、年金に関しては他にも標準報酬月額を実際より低く改ざんされていた問題が発覚しています。今回のねんきん特別便には標準報酬月額が記入されていないので、自分の年金がどうなっているのかは分かりませんでした。

報道によると、この問題は加入月数の漏れに比較しても、発見が難しいそうです。また、標準報酬月額を低く改ざんすることは、事業主にとって納付する年金保険料が少なくて済むだけでなく、納付率を低くしたくない社会保険庁にとってもメリットがあるので、社会保険庁の職員も「共犯」者となって行われていたらしいとのことです。調査が困難な問題なので、可能ならこういった不正に関与していた元・現社会保険庁職員が、自主的に真実を告白してくれればいいのですが、桝添厚生労働大臣は不正に関わったものは懲戒処分にすると言っています。

こういう場合には、期間を限って自主的な報告を促し、自首した者は処分しないという方針を打ち出すことが必要なんだろうと私は思います。ただ、桝添さんは怒りっぽい人みたいだから、そういう処理はしそうもなさそう。また、マスコミも、悪人は吊せってことしか言わなそうだし。

2008年9月2日火曜日

一年ぶりの首相辞任

このところ天候が不安定なので、NHKの6時50分からの天気予報を出かける前にチェックします。今朝の天気予報は、全国の天気でも関東地方の天気でも、いつどこに雨が降ってもおかしくないとの予報でした。正しくはあるのでしょうが、なんとなく投げやりな予報だなと感じながら、7時のニュースが始まると福田首相が辞任とのこと。 昨日の夜は民主党の党首選挙がトップニュースだったので、それにぶつけるタイミングで辞任を表明したのでしょうが、 昨年9月に続いて二度目の投げやりな首相辞任で、驚きました。

いろいろ嫌なことがあって、首相の仕事が面倒になっちゃったって感じでしょうか。彼にしても安倍前首相にしても他の多くの世襲の政治家の人たちにしても、なにかの政策を実現するために政治活動をしているというよりも、親譲りの政治家であり続けること自体が政治活動の目的になっていて、こういうことになっちゃうんだろうなと想像します。

また、長い時間を国会の椅子に腰掛けて過ごしたり、日本国内だけでなく海外にまで度々旅行したりなど、72歳という年齢には激務であることは間違いなく、肉体的な意味での疲労も原因なのでしょう。自分を含めてふつうの人なら、経済的に可能なかぎり早めに引退して、まとまった時間の必要な海外旅行をしたり、趣味など好きなことに専念したいと思うはずですが、福田首相に限らず国会議員や地方議員などの政治家は、高齢になるまで続ける方が少なくありません。政治家を高齢まで続ける人は、政治家であること自体が趣味というか好みの活動なんでしょうかね。

あと、今朝のNHKのニュースでは福田首相の会見の模様を伝えた後に、北朝鮮拉致問題に対する影響が心配とのことで、インタビューで感想を述べる最初の人に拉致被害者関係の会の方が登場しました。さすがは、拉致問題キャンペーン報道を売り物にしているNHKです。拉致問題も無視していいとは思いませんが、少なくともトップで心配されなきゃいけない問題ではないと私は思います。それとも、福田首相の辞任が世界に与える影響なんて実はほとんどなく、せいぜい拉致問題程度しかないよという、鋭い視点からの放送だったのでしょうかね。

2008年7月16日水曜日

竹島なんて、いらない

昨日の新聞などの報道をみると、竹島問題を学習指導要領でとりあげることに韓国の側からは反発があったとのことです。日本が現在抱えている領土問題には、この竹島の他にもロシアとの北方領土、中華人民共和国・中華民国との間の尖閣諸島がありますが、これらの中で一番争う意義に乏しいのが竹島でしょう。

なんと言っても竹島を実効支配しているのは韓国です。北方領土の日ソ共同宣言にあたるような合意も一切存在しないわけで、いくら日本国内で勇ましい言動をとってみても、韓国が竹島を日本の領土として譲り渡してくれる見込みはゼロだと思います。まともな政治家や外交官なら、それを理解できないなんてことはないはず。

それなのに竹島問題を政治家・マスコミが煽り続けるのは何故なんでしょう。いつの日にか韓国と戦争したいのでしょうか?日本国憲法では国権の発動たる戦争行為は禁止されていますから、竹島という日本国固有の領土に対する外国軍隊の占有状態に対する自衛のための行動として、いつの日にか自衛隊が出動させたいとか。まさかね。

ナショナリスティックな世論に配慮してでしょうか。でも、竹島問題に関するナショナリズムの発現は、無責任なマスコミの言説の影響が大でしょう。大新聞やNHKなどのマスコミがナショナリズムを煽る行為をやめれば、現状よりはずっと沈静化するはずです。

経済的な問題を重視してのことでしょうか。竹島に対する領土の主張を引っ込めれば、日本海における専管水域が狭くなってしまうのは確かです。しかし、 実効支配していない竹島周辺の海域で、漁業以外に何らかの利益ある経済行動がとれるとも思えません。直接の利害をもつ漁業関係者には、金銭で解決がつきそうなものです。

まあ、冷静に考えてみれば、竹島に対する領土としての主張を続けても、得られるものはほとんどなかろうというのが私の考えです。どうせちっぽけな島一個なんだし、韓国の領土として認めて、韓国との間で紛争が少ないようにしておく方が望ましいと思うのです。というのも、北朝鮮の核問題に関する6カ国協議のように、東アジアには懸案を話し合うような場がこれからも設置されるでしょう。そして、すぐにEUやASEAN並みとは行かなくとも、ゆくゆくは何らかの機構が常置されてゆくでしょう。そんな場での主役は、間違いなく中国になります。

ただ、中国が主導権を握るにしても、日本の主張を中国に是非とも受け入れさせたい状況だってきっとあるんだと思うのです。そんな時に、一緒に説得に当たる国としては韓国が最適です。東アジア諸国の中で自由主義の経済的な先進国として利害の一致しそうな国は韓国と台湾になります。ただ、台湾には別の意味で問題があるので、中国と上手に付き合うためには韓国との協調を重視することが必要となるわけです。

もしかすると日本人の中には韓国嫌いの人も少なくないのかもしれませんが、政治家・ジャーナリズムには好き嫌いより国益重視で国民をリードする言動を望みたいものです。鶏肋に未練を残すことなく。

2008年6月10日火曜日

秋葉原無差別殺傷事件

今日の午前中は訪問診療(定期的な往診)でした。往診で伺ったある患者さんから、彼女の親類の方一名が先日の秋葉原の通り魔殺人の被害者となりお亡くなりになったと聞かされました。民放のワイドショーだけでなく、NHKニュースなんかもいろいろな出来事を極めて俗っぽい取り上げ方しかしないので、ここ数年ほとんどTVは見なくなっています。でも、患者さんのお話を想い出し、少しNHKニュースを見てみました。

大阪の池田小で多数の児童が殺傷される事件が7年前に起きたのも、同じ6月8日だったそうです。しかし、池田小事件の犯人と、今回の事件で逮捕された人とは全く違う印象です。今回の彼は、 高校卒業後に専門学校に行ったり、派遣会社に登録して数社で働いたり、数日前まで普通に仕事をしていたりなど、現在の日本では他にもいくらでもいそうな経歴の人です。また、殺人を決意するかどうかは別として、彼の経歴は、彼が社会というか自分以外の他者に対して不満を抱くことがあってもおかしくないと思わせるに足るもののように、私には感じられました。

大きな物語の生きていた時代ならば、こういった自分以外の他者・社会に対する不満はもっと別の形で表現されることもあっただろうと思います。適切な例かどうか自信はありませんが、昭和戦前期の日本で言えば血盟団事件などのテロの実行犯がそんな感じでしょうか。インティファーダにおいて自爆テロを実行する人の中にもこういう人が含まれているんではないかな。

社会に対する不満を適切に拾い上げてくれる組織がないから、こんな通り魔事件につながってしまうのかなとも感じます。失われた世代をはじめ、現代の日本においては、この種の不満を持つ人は少なからず存在しているでしょう。じゃ、また通り魔事件の起こることを心配しなければならないのでしょうか。その心配も少しはあるでしょうが、もっと別に大きな不安が。

そういった不満をもつ層をうまく掬い上げる手法を見いだした人または組織が出現したらという不安です。そんな人または組織が出現したら、比較的容易にテロを起こすことが出来るだろうし、その対象如何によってはテロに対する同情・実行犯に対する助命嘆願が多数寄せられることもあるんだろうなとも感じてしまいます。

2008年4月26日土曜日

チベットと琉球

今日の長野の聖火リレーではチベットの旗が沿道に目立ちました。チベットの歴史を想えば、現状の中華人民共和国政府のやり方を擁護するわけにはいきません。日本にもフリーチベットを訴える人が少なくないのは喜ばしいことだと思います。ただし、多少気になる点がないわけではありません。日本で似たような状況が起こった時に、現在フリーチベットを訴えている人たちがどんな反応をするのか危惧されるからです。

日本国内で現に独立を指向している人がいるのは沖縄です。琉球王国、薩摩の支配、琉球処分、沖縄県での琉球語の禁止など二等国民としての処遇、沖縄戦、米軍の軍政、沖縄を切り捨てての講和条約締結等々、沖縄には日本からの独立を求めてもおかしくない歴史があると私は思います。特に、復帰後も続く在沖米軍基地の問題に対して、沖縄県民以外の日本人はちっとも関心がないのですから。

なので、独立を求める人の数が沖縄県で多数になったら、自決権を尊重して平和理に独立をみとめるべきだと私は思います。琉球共和国独立ともなれば経済的には現在よりきびしくなるでしょうから、そこは日本の側が大人の対応で、琉球共和国に有利な自由貿易協定を結んだりODAを供与すればいいだろうと思います。日本にとっても、琉球独立となれば中国と直接国境を接しなくて済むことになるので、メリットがないわけではないと思うのです。

しかし、今日フリーチベットを訴えていた人でも、単に中国が嫌いだからチベットの肩を持っただけという人は、おそらく沖縄独立に反対すると思うのですよね。独立に反対すること自体は問題ないのですが、自決権などどこ吹く風で、独立を求める人の数が増えるほど独立を主張する人の言論の自由が保証されなくなることすら危惧されます。

そう心配しなくたって、日本には沖縄に続いて独立を指向する地域なんてないでしょうに。北海道にはアイヌの人は少なく、明治以降に南から移住した人の子孫が大部分です。また、鎌倉時代ならいざ知らず、東国西国に分かれるとも思えませんし。

しかし、中国の場合にはチベットだけでなく、台湾・香港に加えて、多数の総数民族が住んでいます。なので、中国政府がチベットに独立または高度な自治を与える訳にはいかないと考え、ふつうの中国人がチベットの事件に反発するのも、彼らなりには当然な反応なのでしょう。少なくとも、沖縄独立に反対する日本人の心情よりは、チベット問題で反発する中国人の方に同情の余地はあると感じます。