生協の牛乳を10年ほど前から飲んでます。75℃15秒の低温殺菌が売りの牛乳です。でも、これを飲み始めた頃は味にかなりの違和感を感じました。というのも、それまで飲んでいたスーパーなどで売ってる牛乳と違った味だったからです。それも、脂肪を添加した特濃の牛乳じゃなくて、ふつうの成分無調整牛乳と比較して、なんというかコクが足りないように感じていたのでした。
最近は、長いこと生協の牛乳を飲み続けて慣れたせいか、時々スーパーで買った牛乳を飲んで味の違いを感じることはあっても、コクのなさに違和感を覚えることまではなくなりました。でも、スーパーの牛乳どうしはどこのブランドのも同じような味なのに、乳脂肪の量自体は違わないはずの生協の牛乳の味がかなり違うのはどうしてなのか、疑問に思っていました。
大手メーカ製の牛乳は、生協のと違って130℃2秒間殺菌を行っているものがほとんどのようです。マギー・キッチンサイエンスによると、生協の牛乳の75℃15秒間殺菌はHTST殺菌(高温短時間殺菌)と呼び、大手ブランドの130℃2秒間はUHT殺菌(超高温殺菌)と呼ぶそうで、どちらも昔から行われていた62℃以上で30-35分間かけるLTLT殺菌(低温長時間殺菌)に比較すると、乳清タンパク質の変性と硫化水素ガスが生じる点が欠点なのだとか。ただし、「米国内の消費者は今ではむしろこの風味を望むようになった」ので、より加熱臭がつくように牛乳のメーカは殺菌により高い温度を使用するようになってきているとのことです。
生協の牛乳にコクがないように感じられるのは、殺菌温度が大手メーカより低くて加熱臭が少ないからなのでしょうね。子供の頃から長いこと慣れ親しんだ風味なので、加熱臭ではなく香ばしさと呼ぶべきなのかも。
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ハロルド・マギー著 共立出版
2008年10月発行 本体6000円
単なるhow toやレシピをのせた料理の本ではありません。いろいろな食材の説明も載せられていますが、調理科学っていう学問分野があるのかどうか知りませんが、主には調理や食品の加工について物理・科学的に説明してくれている本です。出版元もお料理の本というより、自然科学書の出版で有名な共立出版で。
例えば、卵の泡立て方が5ページにもわたって述べられています。卵を泡立てると「卵やカスタードが熱で固まるのと同じく、物理的ストレスによってタンパク質の構造がほどけ互いに結合しやすくなることにより、卵の泡は安定になる」のだとのことです。卵白の中では折りたたまれて存在していたタンパク質がほどけて、卵白の液体と空気の境界面に、疎水性の部分は空気側に親水性の部分は液体側に向けて位置することによって泡を固定させる訳です。
泡立てる際に泡を強化する方法としては、小麦粉・ゼラチンなどを加えて粘度を高める他に、銅製のボールをつかう18世紀のフランス以来の方法があります。銅製のボールを使うと卵白タンパクのSH基が銅と結合して、他のタンパクと強く結合するのを阻害するのだそうです。また、卵白一個に対して酒石英小さじ1/8またはレモン汁1/2程度の酸を加えてSH基から水素がとれにくくするのも同様に泡を丈夫にしてくれます。
逆に、卵の泡立ての大敵は卵黄・脂肪・洗剤です。界面活性剤がいけないようですね。プラスチックのボールは表面に脂肪や洗剤が残りやすいので使わない方がいいと言われていますが、プラスチックから卵白にそれらがうつりやすいこともないでしょうから、ふつうに洗ったプラスチックのボールなら差し支えないでしょうとの著者の見解でした。
卵は古くなると卵白がさらりとしてくるので、卵白と卵黄を分離しやすいし、短い時間で泡立ちます。ただし、卵は保管しておくと二酸化炭素が脱けて次第にアルカリ性が強くなっていきます。なので、古い卵よりアルカリ性の度合いの低い新鮮な卵の方が、より安定した泡が出来やすいとのことです。
また例えば、ふつうの有塩バターですが、あの塩味はおいしさのためだけにつけられているものと思っていました。だって薄塩だし食品保存のためとは思えないでしょ。でも、大部分が脂肪で出来ているバターの中で、加えられている2%の食塩は水の中にのみ分布し、この水相中では12%の濃度に相当するので十分な抗菌作用があるとのことです。目から鱗の印象でした。こんな感じで多くの加工食品や調理法・調理のこつが科学的に説明されている点には本当に感心しました。お料理好きの人には一読の価値ありでしょうし、私のように大した料理などつくらない者にとっては雑学として面白い本でした。
また、本書には食材がたくさん説明されていますが、単なる食材の事典として使うにはいまいちかも知れません。索引まで合わせると850ページ以上もある本書ですが、食材ってたくさんあるので、全部に詳しい説明がある訳ではありません。また、本書にはカラー図版は全くなく、モノクロのイラストが少数載せられているだけです。なので、野菜・ハーブ・スパイスなどなど、個々の食材について知りたければネットを利用した方がいいでしょう。
アメリカで出版された本なので、調理法の科学的解説という点ではアメリカやヨーロッパ料理が主な対象となっています。ただし、食材・加工食品関連では、茶碗蒸し・鰹節・柿・豆腐・醤油・味噌・日本酒など日本の食品もかなりたくさん取り上げられていました。和食が流行っているのはたしかなようです。

藤野正三郎著 勁草書房
2008年4月発行 本体6400円
江戸期以降の日本の景気循環をあつかった本です。主に江戸時代を対象とした第1部と、明治以降を対象とした第2部とからなっています。江戸時代の景気・経済成長を考える際につかえる史料として最も一般的な物は物価で、物価をもとにした研究はこれまでにもありました。ほかには役に立つような経年史料がないかと思っていましたが、本書ではこれまでにつかわれていないような史料が材料とされています。
例えば、土木学会がまとめた「明治以前日本土木史」という本には、江戸時代の農業建設活動の工事数が各年度各地方ごとに表として載せられています。著者はこの工事数を農業生産成長の指標として活用しています。ほかに、ある海域での商船の難破数、日本海航路のある港の廻船入港数・取引品目・取引数、関東地方各地での絵馬の各年の奉納数などを経済活動の指標ともしています。
その結果、1800年以降にはいわゆる長期波動が検出されるようになり、1830年以降には中期循環に加えて、西日本では短期循環もはっきりと見いだされるとのことです。また、東日本と西日本の景気は完全には連動しておらず、全国市場の成立は明治以降、通説どおり1900年頃になるそうです。
近世初期の日本の人口は、速水融さんの推計以来980-1200万が通説になっていたと思います。しかし、本書では1800万くらいの方が妥当なのではとされています。近世初期の人口をあまり低めに見積もると、農業関連の工事数から見積もった農業生産と見合わず、近世初頭の1人当たり農業生産がその後よりも多くなってしまい、17世紀を通じて1人当たり農業生産が低下してゆくことになってしまうのだそうです。どちらの推計も限られた史料から工夫を凝らして算出されたものですが、速水さんの人口推計が低すぎるのか著者のつかった農業土木工事件数のみからする農業生産成長の推計が低すぎるのか、どちらが正しいのか興味のあるところです。
第2部以降は、3つの章からなります。一つは、日本の1888-1940年の景気循環の時期を示したもので、多くの系列データの組み合わせから矛盾なく出された妥当な結論のようです。
次の章は、もっと巨視的に17世紀以来、現在までを見据えた世界の超長期の景気循環・コンドラチェフ波を著者なりの観点から説明してくれています。本位制と金銀比価、政治経済制度の変化が関与しているとするとともに、「産業革命」という言葉をコアの各国間で製造業の比較優位が変化するような技術革新がおきることにあてはめているのが独特でしょうか。日本の「産業革命」は占領期終了後とされているなど、まあ一読の価値はありかな。
最後は「付論 人間と国家と革命」というタイトルで、社会体制の変化の要因・歴史を経済的に説明しようと試みられています。著者の持論なのだろうとは思いますが、独特すぎるのでうんうんと頷いてばかりはいられませんでした。
2008年11月26日水曜日
2008年11月25日火曜日
マギー キッチンサイエンス

ハロルド・マギー著 共立出版
2008年10月発行 本体6000円
単なるhow toやレシピをのせた料理の本ではありません。いろいろな食材の説明も載せられていますが、調理科学っていう学問分野があるのかどうか知りませんが、主には調理や食品の加工について物理・科学的に説明してくれている本です。出版元もお料理の本というより、自然科学書の出版で有名な共立出版で。
例えば、卵の泡立て方が5ページにもわたって述べられています。卵を泡立てると「卵やカスタードが熱で固まるのと同じく、物理的ストレスによってタンパク質の構造がほどけ互いに結合しやすくなることにより、卵の泡は安定になる」のだとのことです。卵白の中では折りたたまれて存在していたタンパク質がほどけて、卵白の液体と空気の境界面に、疎水性の部分は空気側に親水性の部分は液体側に向けて位置することによって泡を固定させる訳です。
泡立てる際に泡を強化する方法としては、小麦粉・ゼラチンなどを加えて粘度を高める他に、銅製のボールをつかう18世紀のフランス以来の方法があります。銅製のボールを使うと卵白タンパクのSH基が銅と結合して、他のタンパクと強く結合するのを阻害するのだそうです。また、卵白一個に対して酒石英小さじ1/8またはレモン汁1/2程度の酸を加えてSH基から水素がとれにくくするのも同様に泡を丈夫にしてくれます。
逆に、卵の泡立ての大敵は卵黄・脂肪・洗剤です。界面活性剤がいけないようですね。プラスチックのボールは表面に脂肪や洗剤が残りやすいので使わない方がいいと言われていますが、プラスチックから卵白にそれらがうつりやすいこともないでしょうから、ふつうに洗ったプラスチックのボールなら差し支えないでしょうとの著者の見解でした。
卵は古くなると卵白がさらりとしてくるので、卵白と卵黄を分離しやすいし、短い時間で泡立ちます。ただし、卵は保管しておくと二酸化炭素が脱けて次第にアルカリ性が強くなっていきます。なので、古い卵よりアルカリ性の度合いの低い新鮮な卵の方が、より安定した泡が出来やすいとのことです。
また例えば、ふつうの有塩バターですが、あの塩味はおいしさのためだけにつけられているものと思っていました。だって薄塩だし食品保存のためとは思えないでしょ。でも、大部分が脂肪で出来ているバターの中で、加えられている2%の食塩は水の中にのみ分布し、この水相中では12%の濃度に相当するので十分な抗菌作用があるとのことです。目から鱗の印象でした。こんな感じで多くの加工食品や調理法・調理のこつが科学的に説明されている点には本当に感心しました。お料理好きの人には一読の価値ありでしょうし、私のように大した料理などつくらない者にとっては雑学として面白い本でした。
また、本書には食材がたくさん説明されていますが、単なる食材の事典として使うにはいまいちかも知れません。索引まで合わせると850ページ以上もある本書ですが、食材ってたくさんあるので、全部に詳しい説明がある訳ではありません。また、本書にはカラー図版は全くなく、モノクロのイラストが少数載せられているだけです。なので、野菜・ハーブ・スパイスなどなど、個々の食材について知りたければネットを利用した方がいいでしょう。
アメリカで出版された本なので、調理法の科学的解説という点ではアメリカやヨーロッパ料理が主な対象となっています。ただし、食材・加工食品関連では、茶碗蒸し・鰹節・柿・豆腐・醤油・味噌・日本酒など日本の食品もかなりたくさん取り上げられていました。和食が流行っているのはたしかなようです。
2008年11月20日木曜日
元厚生事務次官の殺人事件
元厚生事務次官の殺人事件ですが、 犯行声明が公開されているわけではないのに新聞やテレビでは年金がらみのテロ事件として報道されています。私も報道で年金テロという憶測を聞かされる前から、同様の事件が二つ続いたことを知った瞬間に、年金がらみのテロ事件だろうなと思ってしまいました。これって、私以外の人の多くもそう感じたんじゃないでしょうか。
もしかすると二件が全く別々の事件、例えば強盗殺人・強盗殺人未遂という可能性もまだ残されています。また、被害者に目撃された犯人が30歳代くらいだったとのことですから、二件が関連しているとしても、年金とは全く別のことで犯行に及んだのかも知れません。そういう可能性が絶無という訳ではないのに、マスコミをはじめ私を含めた多くの人が年金がらみの事件かもしれないと感じて納得してしまうのは、年金問題がそれだけひどくグダグダで、テロの原因になっても不思議がないなとみんなが思っているからでしょう。
で、この納得しちゃう気持ちというのは、もう少し進むと犯行を是認する感情につながり、もっともっと進むとテロに喝采を送るようにもなっていくのだと思います。もちろん、今回の事件では犯人が逮捕されても広範な共感がわきおこるようなことはないでしょう。しかし、犯行を是認する気持ちが多くの人に共有されるようになると、昭和前期のテロ事件のように犯人に対して多くの人から減刑嘆願が出されたりなどするようになってしまうでしょう。
インタビューに対して、テロは良くないと麻生首相も民主党の小沢党首も答えていました。テロが良くないというのは当たり前なことで、私も含めて多くの人が考えていることです。テロはいけないことだと言うこと以上に政治家に求められているのは、現在のようにテロが起きても不思議ではないだろうというみんなの気分を変えて行くこと、それが無理でも少なくともテロを是認させるような気持ちやテロを擁護するような気持ちに変化してゆかないようにすることだと思います。でも、期待できるというと、疑問かも。
大恐慌と不安定な政治のもとで政治的なテロが起きる。遠い昔には日本でもあったできごとですが、まさか現実にこの目でみることができるようになるとは思ってもいませんでした。もう少し長生きして、この先どうなっていくのかも見てみたいものです。
もしかすると二件が全く別々の事件、例えば強盗殺人・強盗殺人未遂という可能性もまだ残されています。また、被害者に目撃された犯人が30歳代くらいだったとのことですから、二件が関連しているとしても、年金とは全く別のことで犯行に及んだのかも知れません。そういう可能性が絶無という訳ではないのに、マスコミをはじめ私を含めた多くの人が年金がらみの事件かもしれないと感じて納得してしまうのは、年金問題がそれだけひどくグダグダで、テロの原因になっても不思議がないなとみんなが思っているからでしょう。
で、この納得しちゃう気持ちというのは、もう少し進むと犯行を是認する感情につながり、もっともっと進むとテロに喝采を送るようにもなっていくのだと思います。もちろん、今回の事件では犯人が逮捕されても広範な共感がわきおこるようなことはないでしょう。しかし、犯行を是認する気持ちが多くの人に共有されるようになると、昭和前期のテロ事件のように犯人に対して多くの人から減刑嘆願が出されたりなどするようになってしまうでしょう。
インタビューに対して、テロは良くないと麻生首相も民主党の小沢党首も答えていました。テロが良くないというのは当たり前なことで、私も含めて多くの人が考えていることです。テロはいけないことだと言うこと以上に政治家に求められているのは、現在のようにテロが起きても不思議ではないだろうというみんなの気分を変えて行くこと、それが無理でも少なくともテロを是認させるような気持ちやテロを擁護するような気持ちに変化してゆかないようにすることだと思います。でも、期待できるというと、疑問かも。
大恐慌と不安定な政治のもとで政治的なテロが起きる。遠い昔には日本でもあったできごとですが、まさか現実にこの目でみることができるようになるとは思ってもいませんでした。もう少し長生きして、この先どうなっていくのかも見てみたいものです。
2008年11月19日水曜日
寒さとまぶしさ
昨日の天気予報では今朝がこの冬一番の寒さになるのことだったので、ハーフコートと手袋をとり出してみました。ただ、ドアを開けた瞬間、それほど寒いという印象はなし。歩き始めてからも、大して風がないのでラクでした。セーターを着ないで、コートの下はシャツだけで正解だったようです。でも、今朝はコートを着ている人も多く、冬が来たのは確かなようです。
寒さもそうなのですが、光も冬の到来を感じさせてくれるようになりました。歩いて通勤していますが、職場はうちから東南東の方角にあたるので、東に向いて歩く時間が長くなります。日の出の時間が遅くなって太陽の高度が低くなってくると、東向きに歩くのは夏と違ってまぶしく、前を向いて歩くのがつらい感じ。なので、これから数ヶ月の晴れた朝はiPodで音楽を聴きながら、地面を見て行くことになります。
寒さもそうなのですが、光も冬の到来を感じさせてくれるようになりました。歩いて通勤していますが、職場はうちから東南東の方角にあたるので、東に向いて歩く時間が長くなります。日の出の時間が遅くなって太陽の高度が低くなってくると、東向きに歩くのは夏と違ってまぶしく、前を向いて歩くのがつらい感じ。なので、これから数ヶ月の晴れた朝はiPodで音楽を聴きながら、地面を見て行くことになります。
2008年11月15日土曜日
ガス台点火用の電池
うちのガス台は、ダイアルを押して回すと火がつくようになっています。このところ、火が付くまでに数秒、長いときには5秒以上かかっていました。先日、台所掃除中にガス台の手前の所を見ると蓋が付いていて、中には単2の電池が一個入っていました。この電池で放電して点火させているようです。いまのところに住み始めて10年ほどになりますが、以来一度も電池を交換したことがなかったので、なかなか点火しなくなったのだろうと思い、新しいのを買ってきて交換してみました。
これまではチカッ、数秒おいてチカッとまた音がして、流れ出ているガスにボッと火がつく感じだったのですが、交換後は一瞬チカチカ音がして、パッと即座に点火するようになりました。毎日使っていると、点火に時間がかかるようになっても少しづつの変化だからあまり気になっていなかったのですが、さすがに10年もつかうと電池がへたってしまっていた訳ですね。ただ、10年だと一万回以上は使っているはずなので、長持ちしたと考えるべきなのでしょう。
単2の電池ですが、近所のスーパーでは2個一組で売っていました。一個は使いましたが、もう一個は使い道がありません。包装には5年保証と表示されていたので、5年くらいたったら交換用に使えばいいのかもしれませんが、できれば一個ずつでも買えるようにしておいてほしいかな。
これまではチカッ、数秒おいてチカッとまた音がして、流れ出ているガスにボッと火がつく感じだったのですが、交換後は一瞬チカチカ音がして、パッと即座に点火するようになりました。毎日使っていると、点火に時間がかかるようになっても少しづつの変化だからあまり気になっていなかったのですが、さすがに10年もつかうと電池がへたってしまっていた訳ですね。ただ、10年だと一万回以上は使っているはずなので、長持ちしたと考えるべきなのでしょう。
単2の電池ですが、近所のスーパーでは2個一組で売っていました。一個は使いましたが、もう一個は使い道がありません。包装には5年保証と表示されていたので、5年くらいたったら交換用に使えばいいのかもしれませんが、できれば一個ずつでも買えるようにしておいてほしいかな。
2008年11月12日水曜日
イチョウの黄葉
2008年11月11日火曜日
日本の経済成長と景気循環

藤野正三郎著 勁草書房
2008年4月発行 本体6400円
江戸期以降の日本の景気循環をあつかった本です。主に江戸時代を対象とした第1部と、明治以降を対象とした第2部とからなっています。江戸時代の景気・経済成長を考える際につかえる史料として最も一般的な物は物価で、物価をもとにした研究はこれまでにもありました。ほかには役に立つような経年史料がないかと思っていましたが、本書ではこれまでにつかわれていないような史料が材料とされています。
例えば、土木学会がまとめた「明治以前日本土木史」という本には、江戸時代の農業建設活動の工事数が各年度各地方ごとに表として載せられています。著者はこの工事数を農業生産成長の指標として活用しています。ほかに、ある海域での商船の難破数、日本海航路のある港の廻船入港数・取引品目・取引数、関東地方各地での絵馬の各年の奉納数などを経済活動の指標ともしています。
その結果、1800年以降にはいわゆる長期波動が検出されるようになり、1830年以降には中期循環に加えて、西日本では短期循環もはっきりと見いだされるとのことです。また、東日本と西日本の景気は完全には連動しておらず、全国市場の成立は明治以降、通説どおり1900年頃になるそうです。
近世初期の日本の人口は、速水融さんの推計以来980-1200万が通説になっていたと思います。しかし、本書では1800万くらいの方が妥当なのではとされています。近世初期の人口をあまり低めに見積もると、農業関連の工事数から見積もった農業生産と見合わず、近世初頭の1人当たり農業生産がその後よりも多くなってしまい、17世紀を通じて1人当たり農業生産が低下してゆくことになってしまうのだそうです。どちらの推計も限られた史料から工夫を凝らして算出されたものですが、速水さんの人口推計が低すぎるのか著者のつかった農業土木工事件数のみからする農業生産成長の推計が低すぎるのか、どちらが正しいのか興味のあるところです。
第2部以降は、3つの章からなります。一つは、日本の1888-1940年の景気循環の時期を示したもので、多くの系列データの組み合わせから矛盾なく出された妥当な結論のようです。
次の章は、もっと巨視的に17世紀以来、現在までを見据えた世界の超長期の景気循環・コンドラチェフ波を著者なりの観点から説明してくれています。本位制と金銀比価、政治経済制度の変化が関与しているとするとともに、「産業革命」という言葉をコアの各国間で製造業の比較優位が変化するような技術革新がおきることにあてはめているのが独特でしょうか。日本の「産業革命」は占領期終了後とされているなど、まあ一読の価値はありかな。
最後は「付論 人間と国家と革命」というタイトルで、社会体制の変化の要因・歴史を経済的に説明しようと試みられています。著者の持論なのだろうとは思いますが、独特すぎるのでうんうんと頷いてばかりはいられませんでした。
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