2016年2月27日土曜日

ジュンク堂立川店とオリオン書房ノルテ店

きのうオープンしたばかりのジュンク堂立川店のある立川高島屋は、これまでこの地域での一番大きな書店だったオリオン書房ノルテ店とはモノレールをはさんで向かい側に位置しています。まさに殴り込みといった感じなのですが、フロア面積もそれほど極端には違わないこの2つのお店は今後どうなってゆくのでしょう。

オリオン書房ノルテ店がいつ開業したのかはっきり憶えてはいませんが、開店当初の棚の様子は憶えています。とはいってもよく憶えているのは日本史の棚だけなのですが、ボール紙製の箱に入った専門書がたーくさん陳列してありました。それも、一般的にも有名な出版社のものではなく、この分野でのみ有名な出版社(たとえば校倉書房さんとか)の、そんな本をローカルなマーケットを相手にするこの規模の書店に並べても買う人はいないんじゃないだろうかというものばかり。各分野の棚づくりのベテランが不足しているかまったくいない状況で、オリオン書房はじまって以来の大きな書店をオープンしなければならない、それでもいちおうは隙間なく本をならべておかなければならないといった苦しい状況がにじみ出るような棚づくりでした。その後数年が経過し、ノルテ店の品揃えは徐々に向上してきています。おかげで、私も東京方面にまで本を買い出しに行く頻度がかなり減りました。かなり助かってはいたのですが、ノルテ店の棚が魅力的だったかと問われると素直に「はい」とはこたえにくかったのも確かで、まだまだ発展途上にあったというのが妥当なところでしょう。

それでもそのまま順調に発展して行ってくれればよかったのですが、ここ1-2年オリオン書房さんの店作りには気がかりな点が散見されました。まずはTポイントカードの導入。そして、駅ビルにあるルミネ店は改装を機に本屋さんから本以外も手広く扱うお店に変身しています。おかげで私にとっては買いたくなるような本のほとんど置かれていない、訪れる意味のないお店になってしまいました。また旗艦であるノルテ店にも喫茶コーナーができたりして、本の展示スペースは減らされました。書店の経営が難しくなってきていて、本以外の商品・サービスの提供で稼がなければといった事情があることもわかるし、ルミネ店がその流れで改装されたのは理解できるのですが、在庫されている本の数の多いことをウリにしなければならないはずの地域一番店ノルテ店さんまでこれでは困るなと思っていたのも確かです。 Tポイントカードの個人情報管理の問題や武雄市立図書館の問題など、良くない噂の多いCCCのアドバイスで今後どんどんこの方向に進むことを危惧していました。

ちょうどそのタイミングでのジュンク堂立川店さんの開店。池袋店なんかよりはずっと売り場面積が狭いはずですが、20世紀に出版された専門書も多く陳列しなければならない旗艦池袋店の棚の停滞感と比較すると、郊外都市の書店であることを割り切って軽快な棚を展開した立川店は魅力ある品揃えに成功したと感じます。というわけで、私個人としては今後ノルテ店さんを利用することがほとんどなくなりそうです。

でも私のような活字中毒ともいうべき本好きは数が少なく、世の中にはたまに本を買いに書店に立ち寄るという人の方がずーっとたくさんいるわけです。例えば、昔とは違ってレジに本を持って行くと、カバーを掛けるかどうか尋ねられます。出版社がその本用にあつらえたカバーでさえ読むのには邪魔だと感じる私ですから、 書店さんのカバーはお断りしています。また邪魔なだけではありません。カバーの紙も1枚なら大したことはありませんが、数千冊分数千枚が集まるとかなりの体積と重量になります。その体積を節約すれば本棚に余計に何冊か収納できるでしょうし、また本の重さに床が耐えられるのかどうか常々不安に感じている身としては書店カバーの重量は有害無益としか思えません。でも、レジで周囲を眺めるとカバーを希望する人の方が圧倒的に多いのはたしかです。そういった多数派を対象に、本といっしょにそれ以外の商品・サービスも利用してもらおうというオリオン書房さんの選んだ方向も、ジュンク堂立川店さんと正面衝突しないという意味では賢いやり方(ジュンク堂がやって来ることを承知していたのかな?)なのではと感じます。


先日来、取次の自主廃業やそれに連鎖した多数の書店の報道があり、またきのうにはその取次の自主廃業のきっかけとなった高田馬場の芳林堂の倒産が報道されました。本に関係する業界にとって厳しい時代ではありますが、立川の大型書店2つが共存してゆくことを願っています。

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