2009年3月9日月曜日
日本史の快楽
上横手雅敬著 角川ソフィア文庫
2002年5月発行 本体600円
高名な中世史家である上横手さんが、週刊現代に毎週1ページでコラムを連載していたものを70回分集めた本です。「武士=ヤクザ」論だとか、明治前半の歴史教科書では南北朝が平等に扱われたり「後醍醐の失政」が取り上げられていたりだとかいろいろですが、気軽に読める本です。
一つ一つは短い文章ですが、なかなか鋭い指摘もあります。例えば建礼門院について、自分の母親である徳子が自分の息子である安徳天皇を連れて入水しようとした際に、自分の息子を助けることができなかった人だと。徳子にしても建礼門院にしても安徳天皇にしても、入水などしなくても殺される心配はなかったろうと言うのです。たしかに、承久の乱の首謀者の後鳥羽天皇でも流罪になっただけですから、幼児の安徳天皇もどこかで余生を送れただろうという指摘にはうなづかされました。
角川ソフィア文庫というのは知らない名前でした。でも、同じ角川ソフィア文庫の所には今昔物語などもありましたから、古典だとか学者の書いたものだとかをまとめたのかも知れません。で、気になったのはこの本の値段です。236ページの文庫で本体600円はちと高いような。ふつうの角川文庫とは違ってあまり売れそうにないやつ(これも増刷されてないようです)を高めに値付けするために、ソフィアなんていうシリーズにまとめたのかもとも勘ぐってしまいます。
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