2010年12月24日金曜日

明治日本とイギリス


C・チェックランド著 法政大学出版局
1996年6月発行
出会い・技術移転・ネットワークの形成というサブタイトルがついているように、開国前後の時期から第一次大戦の頃まで、日本とイギリスの関で交流を行った人たちを描いた本です。外交官のみならず、海軍軍人、貿易商、ジャーナリスト・御雇い外国人、留学生などなど、イギリスから日本に来た人、日本からイギリスを訪れた人の両方が対象となっています。多くの人が取りあげられている点は良いのですが、個々人について得られる情報はごく簡単なものです。良くも悪しくもイギリス人向けに書かれた本で、日本人がこの分野に関して新たに学べる点は少ない本だなと感じさせられました。
10名の人が分担して翻訳しているのですが、どの章も日本語としては非常に読みにくい表現ばかりです。私は日本人で、日本のこの時期について最小限の知識があるので拙劣な表現でもなんとか理解しながら読めましたが、楽しい読後感は得られません。
法政大学出版局は信頼できる出版社だと思っていたのですが、どうしてこんながっかりな本を出版したのでしょう。監訳者と著者とは面識があるそうなので、ゼミででも輪読した本をメンバーで分担して訳書として出版させたのかな。そんな風に勘ぐりたくなるくらいの本でした。

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