2012年7月21日土曜日

飛鳥の木簡


市大樹著
中公新書2168
2012年6月25日発行
本書でも触れられていますが、木簡が郡評論争に決着をつけたことは有名です。そこまでのインパクトはないのかもしれませんが、国郡里制はそれ以前に国・評・五十戸制と書かれていたことや、庸の前身が養と呼ばれ、都で働かされる仕丁は地元から送られた養米を食べていたことなど本書を読んで初めて知りました。出土した木簡の読みや、その内容から出土地点にあった施設や藤原京の役所や住宅を推定するこころみなど、まあまあ面白く読めました。
七世紀末から八世紀末が日本史上、最もたくさん木簡の使われた時代で、天武朝を出発点とするこの一世紀は木簡の世紀とも呼べるのだそうです。以前読んだ木簡による日本語書記史【2011増訂版】にも触れられていましたが、本書でもこの七世紀の日本の木簡をみていくと、朝鮮半島からの強い影響を認めることができることが述べられていました。この時期の日本は律令制の確立に努力していて、ついつい中国から直接学んだのだろうと思ってしまいがちですが、朝鮮半島の意味は大きかったわけですね。

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