2008年5月1日木曜日

専門書のお値段

The Great Divergenceを買った時に改めて感じたことですが、英語で書かれた専門書はとても安いのです。日本語の本と違って、英語の本を読む人は世界中にたくさんいて、たくさん売れるから安くできるってことでしょうか。

英語の専門書といえば、学生の時に友人が韓国土産で買ってきてくれたNelsonのTextbook of Pediatricsが最初でした。海賊版だったので2000円しなかったそうです。あと、Harrison’s Principles of Internal Medicineの二分冊版を持ってる人がいて、その人はポリクリの学生控え室に置きっぱなしにしていたので、暇な時にちょくちょく拾い読みさせてもらってました。

研修医になった時にはCecil Textbook of Medicineを買いました。暗めの赤い装丁で、第17版くらいだったでしょうか。受け持ちになった症例をとっかかりにして読み始め、2年間で一冊ほぼ全部読んだと思います。学生の時に読んだハリソンと比較してみると、少なくとも当時の版では、セシルの方がずっと内容豊富で読みやすいと感じました。今はどうなのか知りませんが。

でも、ハリソン・セシルどちらにしても、英語の教科書は疫学から病態生理・診断・治療などなどとても充実していて、日本の教科書と比較すると格段の差がありました。細菌性髄膜炎の症例を担当した時に痛感したのですが、セシルでは細菌性髄膜炎が12ページも記載されているのに対して、日本のある内科の教科書は2.5ページしか記載がありませんでした。しかも1ページあたりの文字数・情報量はセシルの方が多いので、勝負になりません。

最新版の価格をAmazoneで調べてみると、第23版のCecil Textbook of Medicine(3120ページ)は15188円・外貨参考価格140ドルなのに対して、日本の代表的な内科の教科書である新臨床内科学(2234ページ)は21000円です。外国人が読むことにも充分に配慮していると思われ、とても平易な英語で書かれているので、学生や研修医の人が教科書を買うなら、まずは英語の本を買った方がお得ですしおすすめです。

ただ、セシルやハリソンだけでは不十分な点もない訳ではありません。日本の医療に関する法律や保険制度に関することなどは別に日本の本を参照しなければなりませんが。また、私が勉強した頃のCecilでは、主にヨーロッパ系のアメリカ人を対象とした記載がされていて、人種差が問題となる際にはアフリカ系のアメリカ人について併記される程度でした。

アジア系の人もアメリカには少なからずいるものと思われますが、当時の版ではアジア系の人やnativeの人に対する記述はほとんどなかったように記憶しています。ヨーロッパ系のアメリカ人に比較して日本人に特に多い疾患や、薬物療法での投与量や副作用など、日本人に特徴的な問題もたしかに存在するので、読む上でその注意は必要でしょうが。

和書を買うのにアマゾンをつかったことはないのですが、こういう洋書のオーダーにはいいですね。The Great Divergenceもオーダーした次の日には発送され、その次の日に到着しましたし。

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