2008年6月13日金曜日

戦時日本の国民意識


玉井清編 慶応義塾大学出版会
本体4600円 2008年1月発行

写真週報は内閣情報部編集で1938年に2月に創刊され、1945年7月の374号まで発行された写真週刊誌です。20ページ前後のグラフ誌が10銭で売られ、最盛期には40万部程度が発行されたそうです。

本書には、「国策グラフ誌『写真週報』とその時代」というサブタイトルが付いています。本書はこの写真週報を通して、食糧問題、民間防空、戦局報道、対英米ドイツ観など、様々なテーマについて11人が論じています。

450ページほどの本書ですが、読み通してみて新たな発見があったという感じはほとんど受けませんでした。国策グラフ誌の分析ですから、予想された通りの議論しかできなかったんだろうという印象で、あまり述べるべき感想もありません。

また、グラフ誌の分析ですので、その論拠を示すため本書には『写真週報』から図版が多数引用されています。で、その図版が小さくて細部まで読み込めない物が多数なのが、本書の欠点の一つです。ページ数の制約があるので引用図版が小さくなってしまったのでしょうが、各章の筆者が本として刷り上がった時のことまで考えずにたくさん図を入れようとしているからこうなったのだろうと思います。第一章は比較的この欠点を免れているので、工夫の使用はあったはずなのですが。

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