大岡信、岡野弘彦、丸谷才一著 岩波新書1121
2008年3月発行 定価819円
タイトルの「歌仙」という文字を見て、和歌に関する本かなと思って手に取ってみると、連句に関するものでした。連歌に似ていますが、連句ってなんなのか全く知識がなかったので、なんとなく興味を魅かれ購入してみました。
連句は「鎌倉=室町のころにはやった連歌を俗に崩したもの」で、三十六句仕立てなので、三十六歌仙にちなんで歌仙と呼ぶそうです。複数の人が次々に句をつけてゆくわけですが、春夏秋冬・恋・月などを式目と呼ばれるルールに従って詠むことになっているそうです。
ふつうの詩歌でも、古典に関する教養の欠如から充分に鑑賞することができないので、それに関する評論を読む方が好きです。岡野弘彦さんは知らない名前ですが、大岡さんの万葉集や古今集に関する評論、丸谷さんの後鳥羽院や新々百人一首などみな面白かった。 ですから、本書でもお三方がつくった連句を読むというより、その解説を期待していました。
連句というものは、その場に居合わせた者どうしが楽しく会話しながら句を付けてゆくもののようです。従って、その場には居合わせなかった読者が前後の句のつながり具合を感じ取りにくいこともあり得ます。ふつうの詩歌以上に解説がつけられていることがありがたく感じられたわけです。作者兼解説者が上記のような達人なので、おもしろさもひとしお。読み終えてみて、連句が社交の道具ということが理解できた気がします。
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