2009年2月25日水曜日

中世日本の売券と徳政


寶月圭吾著 吉川弘文館
1999年3月発行 本体8400円

1987年に亡くなった著者の論文のうちで、書籍にまとめられていなかったものを集めた本です。戦前の1933年から1982年までに書かれた22本が、I 日本の古文書、II 中世荘園の諸問題、III 徳政と売券の三部に分けて収められています。I とII には、古文書とは何か、候文の歴史、偽文書、占城米・とうぼし、灌漑、検注などなどに関する論文が収められていて、それらの多くは非専門家の私にも読みやすい内容でした。ただ、お値段が高価なので一般の人が買うことはあまり考えられません。無理なのでしょうが、講談社学術文庫などでもっと安価に出したりはできなかったものかと思ってしまいました。

III 売券と徳政には8本が収められています。徳政の質券・売券への影響、預状の性格・発生、売買と質の関係、祠堂銭など、総じてこちらは専門的な内容のものばかりです。タイトルが売券と徳政とつけられたのもこのためでしょう。私には中身を評価する力はありませんが、研究史を知る意味でも勉強になりました。

0 件のコメント: