2007年10月21日日曜日

ニッポンの素 ルポ「今」を支える素材産業

 武田 徹著  新宿書房  税込み3990円  2005年2月発行

鉄・アルミ・絹・化学繊維などさまざまな素材の歴史と現在を、主に生産者を中心に現場を訪ねて、聞き書きしたものです。もとは雑誌グッズプレス(徳間書店刊)に連載していたルポを一冊にまとめたものだそうです。

グッズプレスという雑誌がどういうものか知らなかったので、ぐぐってみるとカタログ雑誌のようです。表紙からはかなりこてこて物欲系の雰囲気が漂っていて、書店でこの表紙を見るだけで私はまず絶対手に取らない感じです。そういう意味ではこいう連載を一冊にまとめた本って重要ですね。

日常生活ではさまざまな工業製品に囲まれて生きていますが、あらためてその素材にまで思いを及ばすことはまずありません。たとえば、先月までPBG4をメインに使っていました。このPBG4は高価なチタン製のケースに入っていた点が発売時には話題になったものですが、しかしなぜ高価なのかまでは知りませんでした。今回この本で、チタンの精錬ではわざわざ塩素と化合させてからマグネシウムで還元するということを知り、納得できた次第です。

個人的には経済史・産業史に対して興味もあり、素材産業の過去(近世・近代)に関する本はそれなりの数読んできました。しかしそれら産業の現状がどうなっているのに関しては知らないことも多く、興味をもたせる役割を果たしてくれる、しかも気軽に読める本として良かったと思います。

新宿書房さんの出版物を買ったのは今回が初めて。というか、これまでにお目にかかった記憶のない出版社さんでした。

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