2008年2月29日金曜日
樹木と文明
コリン・タッジ著 アスペクト
本体3800円 2008年1月発行
かなりおおげさなタイトルがついていますが、そんなに大それた内容の本ではありませんでした。各科の代表的な樹木に関するエピソードが全体の半分程度を占めています。それに加えて、植物の分類や進化、エコロジカルな事実と筆者の考えを集めたものが本書です。
生物の出現に関して細菌・古細菌・真核生物の3分類が(非明示的だが)扱われいることや、被子植物の分類に関してAPG植物分類体系が用いられていること、DNAによる種の同定の重要性、菌根の重要性などなど、最近の知見が良く取り入れられています。ただし、APG植物分類体系に関してクロンキスト体系との違いについての説明がされていない点などは、親切でないように感じました。
イチョウ、コウヤマキ、クスノキ、カバノキ、カキ(本書ではカキノキとなっている)など日本でも見られるものについてはどんな樹なのか分かりますが、見たことのない樹について書かれている方が多いのです。魅力的なイラストが添えられている樹もあるのですが、如何せんその数が少ない。例えば、グネツム目ウエルウィッチア属などは、その姿を知らずに読むのがもったいない感じ。できればwwwで樹の写真やイラストを探しながら読むのがよいのかも知れません。
多くの樹木に関するさまざまなエピソードが語られていました。個人的には、どこかで読んだことのあるお話の方がかなり多く、新たな発見がこの本の読書で得られたとは言いにくいと感じました。でも、一般的にはおすすめの方の本ですね。
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