2008年4月26日土曜日

チベットと琉球

今日の長野の聖火リレーではチベットの旗が沿道に目立ちました。チベットの歴史を想えば、現状の中華人民共和国政府のやり方を擁護するわけにはいきません。日本にもフリーチベットを訴える人が少なくないのは喜ばしいことだと思います。ただし、多少気になる点がないわけではありません。日本で似たような状況が起こった時に、現在フリーチベットを訴えている人たちがどんな反応をするのか危惧されるからです。

日本国内で現に独立を指向している人がいるのは沖縄です。琉球王国、薩摩の支配、琉球処分、沖縄県での琉球語の禁止など二等国民としての処遇、沖縄戦、米軍の軍政、沖縄を切り捨てての講和条約締結等々、沖縄には日本からの独立を求めてもおかしくない歴史があると私は思います。特に、復帰後も続く在沖米軍基地の問題に対して、沖縄県民以外の日本人はちっとも関心がないのですから。

なので、独立を求める人の数が沖縄県で多数になったら、自決権を尊重して平和理に独立をみとめるべきだと私は思います。琉球共和国独立ともなれば経済的には現在よりきびしくなるでしょうから、そこは日本の側が大人の対応で、琉球共和国に有利な自由貿易協定を結んだりODAを供与すればいいだろうと思います。日本にとっても、琉球独立となれば中国と直接国境を接しなくて済むことになるので、メリットがないわけではないと思うのです。

しかし、今日フリーチベットを訴えていた人でも、単に中国が嫌いだからチベットの肩を持っただけという人は、おそらく沖縄独立に反対すると思うのですよね。独立に反対すること自体は問題ないのですが、自決権などどこ吹く風で、独立を求める人の数が増えるほど独立を主張する人の言論の自由が保証されなくなることすら危惧されます。

そう心配しなくたって、日本には沖縄に続いて独立を指向する地域なんてないでしょうに。北海道にはアイヌの人は少なく、明治以降に南から移住した人の子孫が大部分です。また、鎌倉時代ならいざ知らず、東国西国に分かれるとも思えませんし。

しかし、中国の場合にはチベットだけでなく、台湾・香港に加えて、多数の総数民族が住んでいます。なので、中国政府がチベットに独立または高度な自治を与える訳にはいかないと考え、ふつうの中国人がチベットの事件に反発するのも、彼らなりには当然な反応なのでしょう。少なくとも、沖縄独立に反対する日本人の心情よりは、チベット問題で反発する中国人の方に同情の余地はあると感じます。

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