2008年4月28日月曜日

日本型資本主義


宮本又郎他著 有斐閣
本体2200円 2003年12月発行

ベタなタイトルの本ですが、7人の学者の共同研究会のまとめなのだそうです。共著者の中に宮本又郎・杉原薫など経済史関係の人名があったので買ってみました。ハードカバーの本ですが、300ページ弱なので新書でもっと安く出せば、読む人増えそうなのにと思ってしまいました。

服部民夫という人の「組立型工業化」論が面白く感じられました。東アジア諸国は、生産に必要な設備機械部品を輸入して労働集約的な組立型産業から始めて、徐々に産業を高度化する工業化をしてきました。日本の場合には工業の発展に長い時間をかけることができたので、技術・技能蓄積的発展を遂げられましたが、台湾・韓国・中国と後になるほど、技術蓄積のための時間がなかったので、技術・技能節約的発展になってしまいました。なので、後発国が組立工業を高度化するに際しては日本から資本財・中間財を輸入し続けることになり、棲み分けが実現しているというのです。しかし、中小企業の廃業などの問題もあり今後は予断を許さないという結論です。

あと、会社法やコーポレート・ガバナンスに関する論考も勉強になりました。会社って当然のごとく株主のもので、会社に関する法制度がアメリカにならって変えられてゆくのは望ましいことなのかと、何となく感じていました。しかし、会社自身の長期的な利益や社会にとっても、もっと日本の社会にあったやり方を研究する余地があるとのことです。特に、グローバル化の時代だからこそ日本の社会に合ったコーポレート・ガバナンスにしないと国際競争に勝てないという指摘は新鮮でした。

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