2008年8月4日月曜日

セミの幼虫と窒素

セミの幼虫は成長に必要な栄養をどうやって摂っているのでしょう。根っこから樹液を吸っているのですが、葉から根に流れる師管液を吸っているのか、根から葉に向かう道管液を吸っているのか、それとも口吻の先を無差別に根の中に差し込んで、両者の混ざったものを吸っているのか。

Wikipediaをみると「幼虫は太く鎌状に発達した前脚で木の根に沿って穴を掘り、長い口吻を木の根にさしこみ、道管より樹液を吸って成長する」「土中の閉鎖環境で幼虫が師管液を主食とした場合、大量の糖分を含んだ甘露を排泄せざるを得なくなり、幼虫の居住場所の衛生が保てなくなる」とあり、この点は予想通りで納得できました。

植物食の昆虫の幼虫の場合、エネルギー源となる炭水化物の入手よりも、体をかたちづくるタンパク質・アミノ酸の入手が成長を規定していると思うのです。道管液を吸って成長するためには、道管液にタンパク質・アミノ酸がある程度含まれていないと困るのですが、どうなんでしょう。

植物は、自分が必要とするタンパク質を根から吸収した窒素から合成できます。土壌中に遊離のアミノ酸がたくさんあるとは思えませんから、根から吸収するのは、アンモニウムイオン・亜硝酸イオンなどでしょう。で、これらの窒素を含む無機イオンからアミノ酸を合成する部位はどこなんでしょう。酸素やエネルギー源であるブドウ糖の入手しやすい葉でアミノ酸が合成されるものかと思っていましたが、道管液を吸ってセミの幼虫が成長できるってことは、根がアミノ酸の主な産生部位なのかも。

また、セミの必須アミノ酸はヒトのそれとは違っているかも知れませんが、動物だから自分の体内で合成できないアミノ酸があるだろうと思うのです。すると、植物の道管液中にはそれらセミの必須アミノ酸がすべて含まれていることになります。これって何となく不経済のような。主に根でアミノ酸を合成して茎や葉や花に道管を通して輸送するのだとしても、アラニンやグルタミン酸のような汎用のアミノ酸の形で輸送して、その他のアミノ酸は必要な場でアラニンから合成するなり、グルタミン酸からアミノ基を転移してつくるようなことになってないのか。その辺、気になります。

0 件のコメント: