2009年5月17日日曜日

神戸でのインフルエンザ国内感染例の報道の感想

日本国内でもブタ由来新型インフルエンザウイルス(S-OIV)感染症の感染が拡がり始めたようです。もう、空港での水際対策は意味が無くなった感じですが、いつまで続けられるのでしょうか。また、CDCやWHOやNEJMのサイトを見ると、毎冬シーズンに流行するインフルエンザと比較して、今回のS-OIV感染症は死亡率や入院に至るほど重症化する比率が高くないような感じがします。この印象は正しいのでしょうか。もし正しいとするなら、日本で現在とられている・とられつつある対策の必要性について検討すべきように思います。もう封じ込め対策の段階ではないでしょう。まあ学校の休校は、毎冬のインフルエンザ流行期にもとられる対策ですし必要なのでしょうが。

もともと新型インフルエンザ対策は、強毒性のインフルエンザの爆発的な流行によって病院機能・社会機能が麻痺してしまうことを防ぐために策定されたものだと思います。S-OIVの毒性がそれほどでもないのだとしたら、新型インフルエンザ対策それ自体によって社会機能が受けるダメージの方が大きくなりそうで心配です。

また、マスクやうがいや手洗いの意味についてもよく周知すべきかと思います。マスクやうがいや手洗いの効果の程度に関するエビデンスについては別にしても、マスクやうがいや手洗いといった手段で一生涯にわたって新型のインフルエンザウイルスの感染を免れるとは思えません。つまり、マスクやうがいや手洗いといった手段は直接的に個人を防衛するためのものではなく、パンデミックによって病院機能・社会機能が損なわれることを防ぐことにより間接的に個人を守るものなのだという点をきちんと周知すべきです。

インフルエンザの検査キットもタミフルも一般の診療所では入手できなくなっています。週末の新型インフルエンザ感染の報道狂想曲を見ながら、明日の月曜日からの外来に発熱患者さんがきたらどうすべきか悩むところです。

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