2009年5月3日日曜日

日中和平工作 感想の続き

本書を読んでいると、日本外交のセンスのなさは単に過去のことだとは思えない感じを持ちます。当時は、暴支膺懲などのスローガンでマスコミが国民を煽り、満州国承認などの理不尽な要求を掲げて交渉を失敗させるといった状況でしたが、これってどこかで見たような構図。例えば北朝鮮との国交正常化交渉では、北朝鮮が死亡したと主張している拉致被害者の帰国を要求したり、反北朝鮮キャンペーンをニュース番組のトップニュースとして放送するNHK。外務省の職員の中には冷静に現状を認識して国益のために何とかしなければと思っている人もきっといるのでしょうが、政治家が全くダメだから表だっては動けないのでしょう。本書の著者も日本側の妨害にあったり、命の心配をしながら交渉にあたっていたようですから。

また、前のエントリーを書いていて、盧溝橋・汪兆銘といった固有名詞がATOKの辞書に入っていないことを知りました。まあ、これらは入っていなくて当たり前かも知れません。でも「しな」を変換した際、候補の中に「支那」がないことには本当にびっくりしました。現在ではおおっぴらに使うことが憚られる言葉ではありますが、前世紀前半にはふつうに使われていた名詞で、現在でも意味を知らない人はいないはずで古語と化しているわけではないのだから、「支那」を辞書に入れないというのはやはり変だと思います。

また、本書巻末に収載されている読売新聞社によるインタビューを読んでいて、昭和史の天皇も読んでみたくなりました。これって子供の頃に読売新聞に永らく連載されていたのをみかけた記憶があります。 このサイトによると、まとめた本が角川書店から30巻出版され、文庫にもなっていたのだとか。オンデマンドで抄録版が買えるとあるので、中央公論新社のサイトなどのぞいてみたのですが、みつからない。縁があれば古本で出会えるかもですね。

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