2009年4月27日月曜日

ブタインフルエンザの報道に接して

先週末からTVや新聞でブタインフルエンザが報道されています。アメリカではメキシコ旅行をした高校生や子供に、またカナダでもメキシコ旅行をした人の中に感染者がいるとのこと。ブタと接触するとは思えない旅行者が複数感染しているのですから、ヒトーヒト感染があることは間違いないのでしょう。それ以外の情報がないかどうか、CDCとWHOのサイトを覗いてみました。すると、WHOの メキシコとアメリカのインフルエンザ様疾患のページに
The majority of these cases have occurred in otherwise healthy young adults. Influenza normally affects the very young and the very old, but these age groups have not been heavily affected in Mexico.
Because there are human cases associated with an animal influenza virus, and because of the geographical spread of multiple community outbreaks, plus the somewhat unusual age groups affected, these events are of high concern.
と載せられていました。

スペイン風邪の時にも、インフルエンザ感染が重篤な症状を来して死亡につながった症例は若年成人に多かったことが知られていて、その原因としてはサイトカイン・ストームが想定されています。今回も主に健康な若年成人が肺炎にまでなっているのですから、同様の機序の存在が想像されます。私は感染症の専門家でも何でもありませんが、なんとなく本物のpandemicになりそうな予感がします。ただ、新型インフルエンザの出現がこの時期だったことは不幸中の幸いかもしれません。北半球ではこれから夏を迎えますから、いったんは流行が下火になってくれればと思います。そして秋になるまでにしっかり準備ができればいいのかも。

報道で日本人の反応をみると、厚生労働省の電話相談には豚肉を食べて大丈夫かという問い合わせが多いとのこと。ちょっとびっくりする質問です。これを受けて、石破農林水産大臣がインタビューに答える様子がTVで放映されていました。そのインタビューの中で彼は、豚肉は殺菌滅菌されているから安全だとおっしゃっていました。これにも、またまたびっくり。豚肉を生のまま味や外観に影響ないように滅菌するとしたらガンマ線でも使わなきゃ無理でしょうが、そんな処理をした豚肉を売ったら食品衛生法違反になってしまいます。そもそも、ふつうの食肉は殺菌・滅菌・消毒されてから売られていると思っていたのだろうか、この大臣は。国民のレベルにみあった国会議員が選出され、その議員が大臣になっているってことが本当によく分かりました。

などと書き込んだあとに、BBCのサイトに複数のメキシコ人医師からのE-mailが掲載されているのを知りました。これを読むと、医療スタッフが逃げ出し始めるなど、メキシコの病院は報道されているよりもずっと深刻な状況とのことです。この先どうなるのか、かなり不安になってきました。

0 件のコメント: