2007年12月13日木曜日
戦後ドイツ史 1945-1955 二重の建国
クリストフ・クレスマン著 未来社 税込み5040円 1995年4月発行
2007年、第11回目を迎えた〈書物復権〉共同復刊の一冊として本屋さんの店頭に並べられているのを見て購入しました。日本での初版第一刷は1995年ですが、その後ずっと増刷されていなかったようで、2007年6月第二刷となっています。
原著の初版はドイツ統一前の1982年で、西ドイツだけでなく東ドイツでも一定の評価を得たのだそうです。日本人の私にとってもドイツ敗戦以後の歴史を知るのに、有用な書物でした。また、私にとって本書を読むことはただ当時のできごとを知るということ以上の意味がありました。
ソ連も東西両ドイツも知らない今の若い人たちとは違って、冷戦・東西両陣営の対立の時代に大人になった自分にとって、東西両ドイツの存在は自明のことでした。なので、敗戦後のドイツの歴史を考える際には、ついつい二つのドイツ・分裂国家として建国されることが既定路線のように感じられていたのです。
たしかに、ポツダム・ヤルタ両会談でドイツが4つの占領地区に分割されることが決定されました。しかし、これがストレートに二つのドイツにつながったわけではないことが、本書を読んで得た一番の収穫です。
西側3地区には、フランスの独自傾向はもちろんのこと、英米の占領政策にも種々の違いがあったことがよく示されています。また、西側3地区が統一の通貨改革を行いBRDの建国につながっていったのもソ連との折衝の結果で、そもそもアメリカにしてもイギリスにしても西側3地区からなるドイツ国家の樹立の構想など持ち合わせてはいなかったのです。ソ連占領地区がDDRとして建国されたことでさえ、ドイツ敗戦後の様々な出来事がソ連の行動に影響してのことでした。
また、間接占領により官僚制が温存された日本と比較して、西ドイツは戦争中の体制ときっぱり訣別したとの話をよく聞きます。ただ、西ドイツでは特に1950年代になってナチス時代の官僚が多数復活したこと、司法分野では特に著しいことが本書には記載されています。その後代に対する影響は日本と比較してどの程度のものなのか興味あるところです。
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