国立博物館で開催されている 「宮廷のみやび 近衞家1000年の名宝」をみてきました。上野公園や博物館の敷地にある池には氷がはっていて寒い朝でした。
藤原氏の祖ということで、会場に入ると一番目に藤原鎌足の絵がかけられていました。本などでよくみかける絵ですね。ほかにも、よく挿絵としてつかわれている天子御影の実物も見ることが出来ました。
国宝も、伝世の名筆を集めた大手鑑などいくつか展示されていました。行成筆の倭漢抄(和漢朗詠集)などは、ほんとに平安時代の物なの?ってくらい紙が汚れてないし、やけてないのが印象的でした。
有名な御堂関白記は3カ所に分けて展示されています。初めの方の二つは人が群がっていてよく見えなかったけど、ラストの方に展示してあった寛弘元年上巻はすいててじっくり見れました。
春日詣でなどの内容はともかく、具注暦に書かれているのですが、具注暦ってどこでつくっていたのでしょう。濃い黒色の墨の細字で日付や干支などがきっちりした楷書で書かれています。それに較べて、道長の字の読みにくいこと。墨の色も薄いんですよね。道長は自分で墨をすったのでしょうか?誰か使用人にすらせたのなら、もっと濃い色の墨を使ったんじゃないのかななどと妄想。
展示品の半分以上は近世の品々でした。御所人形、銀細工の雛人形道具、古裂れ、酒井抱一の四季花鳥図屏風などなど。でも、近世の部の中心テーマは、江戸中期に当主だった近衞家凞さんです。この方は博学多才の人だったそうで、彼の書や絵画などがたくさん展示してありました。大手鑑も彼が編集したものだそうです。
面白かったのは、予楽院臨書手鑑。ググってみると、臨書というのは「古典を手本として、可能な限り手本に似せて書くことである。書を学ぶ欠くことのできない練習方法の一つ」なのだそうです。初めて知りました。
で、この予楽院臨書手鑑は、近衞家凞が近衞家に伝わる小野道風・行成・公任などなどの、古来の名筆の臨書をこころみて、それをまとめたものなのです。今回は、その臨書と藤原佐理の書いた国申文帖の本物とを並べて展示してありましたが、文字の大きさや形だけでなく、墨のかすれ方まで本当にそっくりなので驚きました。家凞さんは、近衞家の当主なんかに生まれなかったら、贋作家として生きていくことが可能なくらいの腕前で、才人だったということがよく分かりました。
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